子供のお熱心配ですね。特に乳児は泣いたり、ぐずったりでどこが悪いといってくれません。夜にお熱に気がつくと、相談する相手もいないし、救急病院に行くべきかどうか不安な時間が訪れます。でも赤ちゃんのお熱は38℃以上と考えてください。38℃台でも機嫌がよくて、水分をとり、お目目に表情があれば大丈夫なことがlまとんどです。お熟の原因は体の中に発熱の原因となる物質ができるためです。細菌、ウイルス、がん細胞などの異物が体の中の細胞を刺激して発熱の原因となる物質をつくります。そこで赤ちゃんの発熱の原因は主に細菌かウイルスということになります。
赤ちゃんはお母さんからお臍をとうしてウイルスに対する抗体をもらい、母乳から気管支炎や胃腸炎を防ぐIgAという抗体をもらいます。3ケ月までにお熱が出ることが少ないのはこの母親由来の抗体のためです。この母親からの抗体は6ケ月から12ケ月ぐらいで減少し、変わって子ども自身の抗体が増えてきます。この時期に合わせてウイルス感染症にかかりやすくなるわけです。代表的なのが突発性発疹、夏風邪のコクサッキーやエコーウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどに順番にかかるわけです。インフルエンザをのぞlナぱlまとんどのウイルスは一回かかると2回かかりません。免疫学的記憶ができるわけです。風邪にいつもかかっていた病弱な子供が、小学生になって病気ひとつせず遊びまわれるのがこの免疫学的記憶のおかげです。ウイルスは麻疹やインフルエンザをのぞけばほとんど重症化せずに自然経過で治りますが、細菌感染症はそうは行きません。その代表格が髄膜炎、中耳炎、尿路感染症ですO中耳炎や尿路感染症は発熱以外症状がないことが多いようです。そのため中耳炎では鼓膜を見る、尿路感染症では尿の検査をすることが大切です。中耳炎、尿路感染症を見逃すと髄膜炎になって大変重い状態になることがあります。中耳炎はそれでもお風邪からの中耳炎、滲出性中耳炎が多く必ずしも治療しないで治ることも多いようです。したがって見逃してはならないのは尿路感染症となります。でも尿路感染症の診断は簡単です。オシツコをテープで調べ、顕微鏡でチェックすれば見逃すことはありません。
一番大変なのはこのオシッコを採取することなのです。赤ちゃんにオシッコを調べるよといってもオシッコをしてくれません。そこでOCFCでは尿パックをオシッコの出口(外陰部)につけます。オシッコするまで何時間も待つこともありますので、場合によっては診察する前の待ち時間にこのパックをはることもあります。お熱以外に咳とか鼻水、嘔吐、下痢などがない場合です。看護婦からよく説明をうけて、納得してから検査を受けてください。医師の診察後に検査を受lナたい希望がある方はその旨を看護婦にお話ください。この尿路感染症、通常は治療が容易です。抗生剤の内服ですぐなおります。1週間以上症状が続いたり、繰り返すようであれば尿の通り道(腎臓・尿管・膀胱・尿道)の異常(尿の逆流など)があることがあります。超音波やレントゲンの検査が必要です。
熱が続く、食欲不振(水分も取れない)、頭の一部(大泉門)が膨らんでいる、とっても不機嫌などの症状があれば髄膜炎を疑います。嘔吐、痙攣などの症状も出ますが、こんな症状が出る前に受診したいものです。
ともあれ、1ケ月までの発熱は原則入院、1歳までの発熱は検尿が原則です。
(OCFC院長)