咳に関するご質問は2回目ですね(OCFC NWES VOL3)。前回は咳がどうして出るのか、その生理的な意味を説明して強い咳止めを使えない理由をお話しました。つまり咳は異物が気管・肺に侵入することを阻止し、気管支炎・肺炎では病巣部位の掃除に喀痰の排泄を促す意味で必要であるとお話したわけです。今回この質問はちょっと意味が違いますね。1・2ヶ月続く不快な咳をどうしたら止められるのかという意味だと思います。一部のお母さんはわが子が特別抵抗力の弱い子ではないかと心配する方のいらっしゃいますがそういった免疫不全の状態の方はおそらく10万人に一人ぐらいです。もっともOCFCには東京女子医大や慶応大学病院から紹介されて
相談に見える方もいらっしゃいます。開設してから2年間で成人・小児を含め4人の免疫不全症を診断致しています。
さて長く続く咳の原因は一般的になんなのでしょうか。それには大きく分けて3種類の原因が考えられます。感染症によるもの、アレルギーに起因するもの、鼻水、副鼻腔炎などの鼻疾患によるものです。小児の咳を伴う感染症の多くはウィルス性であり抗生剤の投与は必要ないとされています。しかし咽頭所見がなくても10日以上咳が続く場合は抗生剤が必要なときもあります。3・4歳以降だはマイコプラズマ肺炎などを考えての治療が必要です。このような場合はジスロマック等の抗生剤を内服します。肺炎の後では炎症が治まったあとに感染症後の 延症の咳として長く残ることもあります。この場合はクラリス等のマクロライド系の抗生剤を少量1ヶ月間使用することもあります。また一部の症例では気道が敏感になていると予測してアレルギー性の咳に準じた薬剤を使用することもあります。
さて、アレルギー性の咳ですが、喘息のように喘鳴が聞かれないで咳だけが続く場合を咳喘息と診断することがあります。喘息と同じようにハウスダストやダニといったアレルゲがはっきりすることがあります。夜間の典型的な咳 息のパターンは寝入りばなと明け方の咳です。床に入って15分ぐらいで咳が始まり、30分から1時間でなおったあとおよそ数時間後の明け方再び咳が始まることです。この場合は 息と同じ予防的な治療が必要となります。即ちオノンやキプレスといった抗アレルギー剤の内服とステロイドの吸入です。
ステロイドの吸入は学童からの使用となります。
鼻水が続き、副鼻腔炎になりつつあると後鼻漏といって溜まっている分泌物が寝ている間に喉に回って咳がおこることがあります。
また幼児に多い口呼吸も喉を乾燥させて咳の原因となります。副鼻腔炎になっていたら耳鼻科に行きましょう。でも初回の状態では良く鼻をかませることが大切です。決してすすらないように教えて下さい。口を閉じて片方の鼻孔を押さえて片方づつ鼻をかむようにしましょう。鼻閉でかめないときは赤ちゃんだったらお湯を1~2敵鼻腔にたらしてみて下さい。OCFCにあるハナセン(重曹・生食水)
も有効です。その後一生懸命鼻をかみます。特に寝る前に。そして朝起きたらコップ一杯の湯冷ましを飲ませてあげて下さい。ほら咳が止まった。(OCFC院長)