1歳くらいのお子さんがしょちゅうう熱を出したり、咳やゼイゼイしたりしているとお父さんやおばあちゃん、お隣の奥さん・幼稚園・保育園の先生からいろいろ云われて大変でしょう。お子さんの熱はそんなに悪いことなんでしょうか。ここはじっくり考えてみましょう。
乳幼児は生理的に空気が通る鼻腔・上気道が狭く、また柔軟性に富んでおりゼイゼイ云いがちです。この上気道から発生する音を肺からの音と勘違いして、肺炎になったと考える方も多いようです。この場合熱も無く、食欲があれば(体重増加が認められれば)大丈夫です。ただ2歳以下では呼吸器の免疫が充分発達していないので肺炎になりやすいことも事実です。
実際冬にはRSウイルス等による細気管支炎にかかると呼吸ができにくくなり入院となることが少なくありません。でもそういったお子さんでも3歳過ぎれば自然に抵抗力ができて、肺炎にまでいかなくなります。
さて熱の原因となる感染症はいくつぐらいあるでしょう。はしかや水痘それに突発性発疹のウイルスは2種類あります。夏の咽頭結膜炎になるアデノウイルスは8種類、ヘルパンギーナや手足口病の原因ウイルスであるコサッキーウイルスはそれぞれ12種、7種以上のエンテロウイルスもあります。冬の下痢の原因になるロタウイルスは4種類以上、今年流行の小型球形ウイルスは充分解析されていませんが10種類以上となり、インフルエンザウイルスは変身を繰り返します。そのほかのウイルスも加えると100種類を超えます。さらに細菌感染症では溶連菌やインフルエンザかん菌、肺炎球菌などがあります。従って4歳までにウイルス性疾患に罹るとしたら年間25種ウイルスと戦い、月4回の発熱となります。さらに細菌による発熱があります。言い換えますと普通の健康な幼児でも月4回の発熱は大きな問題ではありません。それどころか感染を繰り返すごとに免疫力が上昇しているといえます。子供の頃一生懸命に病気になり、免疫をつけていれば丈夫な大人になります。
なにか感染症に罹ることと勉強することは似ていると思いませんか。まさに子供は発熱して成長しているのです。子供が感染症に罹ったら心配でしょうが、小児科医と連絡をとりながら見守り応援してあげてください。自分の力で治ることも必要です。小児科医はそれをお手伝いします。そして必要なときには必要なだけ医療を提供します。子供も頃の発熱は学校での模擬試験です。(OCFC院長)