いろいろな意見があるのは大変よいことです。是非皆様でよく話し合っていただきたいと思います。ここでは私がどうして病児保育室を開設したかというお話をします。保育士さんとのお話し合いのときに参考にしてください。
病児保育jは国の定めた制度であること。
病児保育は国が定めた新エンゼルプランによる制度であり、保育園の設立意義と同じものです。これは働くご両親の育児支援のひとつです。元気なときは保育園、病気になったら病児保育、家庭環境は様々でも子供にとってよりよい育児空間を提供するのが目的です。
病児保育は誰のため。
もちろん病児自身のためです。働くお母さんが病気のわが子を見るために仕事を休んだり、祖母に頼んだりするのもよいでしょう。でもそのような事ができない場合もあります。仕事を失えば生活自体が変わってしまうときもあるでしょう。その時お母さんに代わって病児を保育する制度があればお母さんも余裕を持って仕事ができ、また仕事が終わったら育児に専念できるのです。余裕を持つことは育児の上でも大切です。母親にいいことは結局子供にとってもいいことなのです。
無用な入院を避けよう。
入院する程重症ではないけれども、経験のある看護士がもう少しみてあげたい方もいます。十分な観察のもとに、適切な医療を提供したい。しかし現在の医療体制ではそういった場合でも入院して様子を見ることしかできません。私は病児に対するデイケアサービスとしても病児保育を位置づけています。デイケアですめば夜はお母さんの胸元で眠ることもできるのです。そしてそれは医療費の軽減にもつながるのです。
病母(父)児保育
少子化が進んでいます。小さいころ兄弟の看病に参加していなければ親になったときにいきなり病気の子供を見ることになります。ご両親によってはどう看病していいかまったくわからないときもあります。そのとき病児保育は病母(父)児保育となってお母さん・お父さんも一緒になって子供を見る環境を作りたいと思っています。今すぐには余裕がないかもしれません。でも近い将来の方向性はここにもあると考えています。
(OCFC院長)
インフルエンザはこの時期とても心配な病気の一つです。質問には 様々な要素が含まれているようですから一つずつ分けて考えたいと 思います。
トリインフルエンザ WHOの報告によれ.ぱヒトのトリインフルエンザ 患者は現在まで133名、死亡者は68名となっています。患者さんは中国、インドネシア、ベトナム、タイ、カンポジヤなどで診断されています。トリへの感染はさらに広く日本や欧州でも発見されています。H5Nl型のインフルエンザは人への感染能力は弱いのですが、いつ人への感染力の強力なインフルエンザになるか恐れられています。そうなればパンデミック、大流行がおこります。それは勿論今年かもしれません。
タミフルの毒性について どんな薬剤にも副作用はあります。薬剤の使用にあたってはその効果と副作用を理解して効果が上回ると判断した場合に決定します。夕三フルの毒性に関しては2年前からいわれていたことは乳児の脳への影響でした。製薬会社(米国ロッシュ社)は依然として乳児への投与は認めていませんが、過去2年間の日本での使用経験からは急性期の大きな副作用はないようです。しかし脳への影響を考えると、使用された乳児の長期のフォローアップをしてみないとわからない点も多いようです。このような点から1歳未満では罹患した場合、予防接種をおすみの方はタミフルを使用しないで様子を見ることもよいと思います。また接種されていない方では脳炎・脳症を防ぐ意味で短期間のタミフル使用も考慮に入れるべきでしょう。最近注目されている毒性は急性期の毒性である興奮や意識障害または異常行動です。添付文書によれば頻度不明とあります。使用にあたっては家族など周囲の人が十分注意を払うことが大切です。そして解熱したら直ちに内服を中止することも必要です。医師のほうも漫然と5日間処方するのではなく、2日間や3日間処方を心がlナるほうがよいと思います。
インフルエンザ対策 間違いなくインフルエンザワクチンの接種です.現在のワクチンはトリインフルエンザには無効でも、従来型のインフルエンザに罹らないあるいは症状の軽減により体力の温存が可能となります。この体力温存こそが新型インフルエンザ対策となります。
一般的な注意としては規則正しい生活をして体力を蓄える。無用な外出は避lナる。外出時にはマスクの使用。帰宅時には手洗いうがいをおこなう。等、基本的なことしかありません。おかしいなとおもったらすぐに病院へ行ってください。そのときマスクをお忘れにならないでください。OCFCでは忘れてきた人のためにことしもマスクをご用意します。ご自由にご使用ください。またインフルエンザの疑いのある方はできるだlナ別室でお待ちいただく方針です。
(OCFC院長)
インフルエンザの予防接種についてよく質問されるのでここでまとめてお答えしましょう。
インフルエンザワクチンはウイルス表面の蛋白を精製したワクチンでこのために発病することはなく、不活化ワクチンとも呼ばれています。
従って妊娠されている方にも安全とされています。今年のワクチンはA型2株、B型1株の混合ワクチンです。(2000年12月1日号より)
生ワクチンと異なり、接種後に増強される免疫力は抗体だけで、発病を防ぐ力(これを細胞性免疫力といいます)は あまりできません。この抗体は接種後1ヶ月ぐらいで十分効果が出現し、3ヶ月から5ヶ月ぐらいで低下します。抗体ができる速さは 基礎免疫のない小児で遅く、成人では比較的短時間で作られます。抗体が3ヶ月から低下することより有効期間が3ヶ月と記載されることも ありますが、根拠となる医学的な論文に乏しく、充分な裏づけができていません。また人にはブースター効果といって、 再度ウイルスにさらされると急速に抗体を作る働きがあります。従って早期にワクチンを接種していれば流行の初期ウイルスにさらされると、 抗体は再度上昇して流行期を乗り切ることになります。接種が流行に間に合わない場合は接種が無効となりますので 当院では早期接種に踏み切ったわけです。今年から13歳以上の方は一回接種でいいことになりましたが、 これはこの年齢以上であれば、インフルエンザに罹ったことがある、あるいは何回かインフルエンザワクチンを接種したことがあって、
基礎免疫ができているだろうという理由からです。従って何年もインフルエンザに罹ったことが無い、インフルエンザワクチンを したことがない方は13歳以上でも2回接種が確実ということになります。
絶対に罹りたくない(正確には重くなりたくない)受験生やお年よりは早期に(9月あるいは10月)接種して2月ごろ2回目、 あるいは3回目の接種をすることも良い方法かもしれません。この方法は私の考え方から判断すると無駄な方法ですが、 有効期間が明確になるまでの実際的な方法のひとつでしょう。
血液中の総コレステロール値が220mg/dl以上、中性脂肪が150mg/dl以上であると、高脂血症といわれ、動脈硬化を促進する原因となります。またHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)値が40mg/dl未満でも動脈硬化が進みやすいこともわかっています。動脈硬化が進行すると脳卒中・心臓・腎疾患等重大な病気を引き起こす危険性が高くなります。高脂血症はそれ自体自覚症状が無いので放置してしまいがちですが、軽症のうちは食事や運動療法で改善する事ができます。まず摂取エネルギーを控えます。体重はどうでしょうか。肥満であれば減量します。要するに「食べすぎない」ことです。次にコレステロールや動物性脂肪を多く含んだ食品を控えます。肉の脂身・バター・洋菓子(牛乳・チーズ・生クリーム・高脂肪のアイスクリーム)卵黄等はコレステロールを上げやすいので摂り過ぎないようにします。魚の油にはEPAやDHAと呼ばれる物質が豊富に含まれており中性脂肪を下げたり、また食物繊維と一緒に摂るとコレステロールを下げる働きがあります。また血流を良くするので血栓ができるのを防ぎます。これはさばやいわし、さんま、あじなど青魚に多いので肉を減らし、これらの魚を食べる回数を増やしてください。大豆製品も一日一回は摂るようにしましょう。さらに野菜や海藻・キノコ類が不足しないようにします。これらの食品は食物繊維が多く含まれており、コレステロールを下げる
働きがあります。またビタミンやミネラル、抗酸化物質も豊富ですので、動脈硬化の進行を防ぎます。毎食色の濃い野菜を多く食べましょう。
遅い夕食・食べ過ぎ・甘いものやアルコールにも注意が必要です。食事療法と同時に運動療法も大切です。通勤時間に一駅歩く、階段を利用する、まず10分余計に歩くなどは如何でしょうか。できることからはじめましょう。(栄養士 関典子)
OCFCではじっくり外来を開設しまして患者さんやご両親とじっくりお話をする時間を設けました。その中の一つとして夜尿症(おねしょ)外来があります。今日はそのおねしょの話をしましょう。おねしょとは何でしょう。寝ているままで排尿することです。赤ちゃんでは普通で、2歳ごろから少しづつなくなります。よく無理やり起こして排尿させますが、完全に起こさないでおしっこをすることはトイレでしてもおねしょと同じです。このおねしょは6歳までは普通にあります。小学校上がる前のおねしょはそんなに気にすることはありません。10歳で7%15歳で1%といわれています。それ程珍しいことではありません。あんまりみんなに言わないだけです。自分たちだけで悩まないでください。
では、どうしておねしょするのでしょうか? 簡単です。オシッコが膀胱に入りきらないためです。つまりオシッコが多すぎるか、膀胱が小さすぎるかです。前者を大量夜尿型、後者を膀胱機能未熟型といいます。2つとも原因になる混合型もあります。このタイプわけはオシッコの量と濃さを測ることでおこないます。OCFCに受診されれば計画的に検査しますのでご安心ください。
治療は生活指導と薬物療法に分かれます。まず生活指導。 生活指導の基本は「起こさず、焦らず、叱られない」です。本人は気にしているものです。気にしている子供にプレッシャーをかけないことです。おねしょは決して珍しいことではないこと、そしてそのうち直ると信じて通院してください。水分制限は基本です。午前中にたっぷり水分をとって午後は制限、夕食後は水分摂取を出来るだけ控えましょう。お昼のうちは尿意があっても出来るだけ我慢する膀胱訓練が役立ちます。これは膀胱機能未熟型に有効です。こういった生活指導を守るだけでもだいぶ役立ちます。
薬物療法は内服薬と点鼻薬があります。 大量夜尿症には坑うつ剤の一部のお薬(トフラニール等)が効くこともあります。また膀胱機能未熟型では膀胱の機能を調節するお薬(ポラキス等)が効くことがあります。これらのお薬は夜寝る前に1回服用します。大量夜尿型デスポプレッシン(DDAVP)の点鼻も有効です。外国ではこれが一番多く使用されているようです。寝る前に鼻腔に1~2回噴霧します。点鼻するので鼻炎のある方では効果が出にくいこともあります。この薬の使用中は水分の適度な摂取は控えます。
一番大切なことはいつか必ず治ることを忘れないで気楽にあせらず怠けず生活することです。(OCFC院長)
それでは今回lは子どもの紫外線対策についてお話しましょう。
かつて日光浴はビタミンDの合成を促進するために推奨されてきましたが、最近は食事から十分にとれるので必ずしも必要とはいえなくなってきています。むしろ紫外線による皮膚へのダメージが心配され、日光浴の効用よりはむしろ紫外線防御に重点が置かれ始めました。紫外線は可視光線より短い波長をさし、その中で長いものからUVA、∪VB.∪VCとわけられています。皮膚に障害を与えるのは主にUVBです。紫外線の大部分は∪VAです。11時から午後1時の問に1日の紫外線の60%が照射されます。そこで乳幼児の外出には余裕を持って行動し、10時から午後3時までを避けましょう。
乳児の皮膚の特徴は角質層が薄く、脂肪が少なく、汗腺がおおいことです。一方水分量は成人と同等です。すなわち紫外線の影響を受けやすく、汗をかきやすいのです。そのために成人よりは更に保護が必要です。紫外線による症状として急性期は日焼け、色素沈着です。慢性の症状はしみや肌の弾力性の低下であり、究極的には皮膚がんを発症することもあります。
防御法:基本的には夏季では10時から午後3時までの外出を避ける。帽子、長袖の衣類、日陰の利用です。海水浴では水着の上からTシャツを着るのもよい方法です。海水浴では紫外線対策とともに熱中症や脱水に注意してください.水分は飲料水であればどれでも大丈夫ですが、最近薬局で販売している経口補水液がより安全です。
サンバーン:小児には小児用のサンバーンが向いています。小児用では安全性の面から紫外線予防には紫外線散乱剤を主に使用しているからです。その他汗などの耐水性に優れ、石鹸でも落ちやすいようにデザインされているものもあります。海水浴での使用は比較的強力なもの、すなわちSPF(Sun protection factor)で30以上、PA(Protection grade of UVA)++以上のものを選んでください。いずれにせよ事前にテストしてかぶれないかどうか見ておくことは必要です。
夏は汗をかいて湿疹が悪化したり、掻くことにより「とびひ」になったり、「みずいぼ」が悪化したりお肌のトラブルがおきやすくなります。基本はまめに入浴、シャワーで皮膚を清潔に保つ、「とびひ」では適切な経口抗生剤と塗り薬が大切です。「みずいぼ」ではピンセットで取る方法もありますが子供は痛くて嫌がります。お薬を飲んで直す方法もあります。いぼが大きかったり、数が少ない場合はテープを貼って直す方法もあります。テープ法では痛くありません。1週間ぐらいできれいに直るでしょう。いずれもOCFCで行っています。
(OCFC院長)
今年は咳漱が長引いている子供さんが多いようです。一つには今年マイコプラズマ肺炎が大流行していることが原因のようです.マイコプラズマ肺炎は高熱が続き、咳が止まりにくいのが特徴ですが、一部では発熱が目立たない場合もあるようです。長引く咳のときは熱がなくとも検査をするか、一度マクロライド系の抗生剤を服用するのもいい方法です。また一度肺炎・気管支炎にかかるとどうもそのシーズンは咽喉が敏感になって咳をしやすい、咳が長引くようなことがありそうです。 この長引く咳漱、3週間続くと遷延性咳漱、8週以上続くと慢性咳漱といいます。この慢性咳漱には咳瑞患、 アトピー咳漱、花粉症、喉頭過敏症、後鼻漏、胃食道逆流症に分類されます。
咳備息とは気管支暇息と同じように各種のアレルゲンで誘発されます。
咳発作はハウスダストやダニの場合、就寝時と6時間後の明け方近くの2回lまどおこるのが特徴です。瑞息
と同様抗アレルギー剤、ステロイド吸入、気管支拡張剤が有効です。
アトピー咳漱はアレルゲンに反応して発作が起こり、咽喉のイガイガ感が特徴です。
咽頭・喉頭の過敏性冗進が原因ですので、抗アレルギー剤や吸入ステロイドが有効で気管支拡張剤(ホクナ
リンテープ○等)は無効です。アレルゲンがスギやその他の花粉によれば花粉症に伴う慢性咳漱となります。
花粉症の70%に起こるともいわれています。
喉頭過敏症はアレルゲンの関与がないもので、吸入ステロイドが効果的ですo
後鼻涌・食道逆流症は夜間のしつこい咳激が特徴です。
後鼻漏では鼻汁吸引とマクロライド系抗生剤、去疲剤の使用が効果的です。
食道逆流症では夜間胃液が食道に流れ込んで食道の粘膜が痛み咳の原因となるものです。
胃粘膜保護剤が有効です。OCFCでは以上のポイントで慢性咳漱の診断・治療にあたっています。でもお母
さん、元気で体重増加もあればあまり鼻汁や咳に神経質になることはありませんよ。子供は風邪を引きなが
ら丈夫になっていくんですから。朝おきたときの咳はむしろ寝ているときにたまった癖を取り除く大切な生
理現象です。この咳は止めてはいけません。いやとまりません。
(OCFC院長)
予防接種はほとんどが皮下に注射しますので乳幼児にはちょっと可哀想な気がしますね。でも実際に怠るととでもないことになるんです。現在でも世界中で何十万人の乳幼児が亡くなっています。明治以前では麻疹から治って初めて正式な名前をつけた頃もあったようです。つまりそれ程重い病気と考えられていた訳です。日本でも麻疹ワクチンを行う以前は年間500人以上の人が亡くなっていましたが現在でも年間に数万人以上の発症と1万人前後の入院患者さん、そして10名前後の死亡者があります。麻疹の治療で一番困っていることは特効薬が無いことです。点滴して脱水を補正したり、細菌感染の合併を考えて抗生剤を投与したりしますが決め手にはなりません。ガンマグロブリンの筋注でかなり早く解熱したり、治ったりしますがヒトの血漿から作るものですので使用にあたっては充分な配慮が必要です。従って麻疹ワクチンによる予防が最強の手段となります。1歳のお誕生日を迎えたら先んず麻疹ワクチンです。1歳以下では公費の負担が受けられませんが感染の危険が高い場合は接種することも必要です。1歳以下で積極的に接種しない理由の一つとして胎内でお母さんから移行した麻疹抗体でワクチンがつかないことですが、つかない場合は母親からの抗体が充分にあることですので麻疹にはかからないでしょう。
でもいま1番問題になっていることはどうも母親の抗体が充分に無いらしいことです。OCFCには今年11人の麻疹患者さんがいらしてそのうち1歳以下の乳児は2名でした。また昨年からですと2組の親子発症がみられました。従ってなるべく早期の接種が大切です。1歳以下で接種した場合は1歳以降2回目の麻疹ワクチンの予防接種が必要と思います。実際アメリカ・ヨーロッパでは2種類接種となっています。予防接種後の麻疹発症(修飾麻疹、SVF)が増えてきていることから、将来は全員2回接種の方向へ向うと考えられます。
今一番幸せなお母さん、目の前にある大きな見えない落とし穴はワクチンで塞いであつまでも幸せな家族でいてください。
(OCFC院長)
小さいお子さんが熱で泣いているとかわいそうですね。すぐに熱を下げてあげたいけれど、最近のテレビや新聞からは熱は下げてはいけないと言われていたり、どうしてよいかわからなくなりますね。でも簡単です。熱のために苦しそうなら解熱剤を使ってください。元気そうならたとえ40℃あっても使用しなくて良いのです。でもこれだけは忘れないように。“熱は下げても上がります。下がれば上がりません。”よく判りませんね。もう少し詳しく説明しましょう。
私達は恒温動物ですから、発熱を調節することにより一定の体温を維持しようとします。この調整は脳の中の視床下部周辺でおこなっています。体内に発熱を促すような物質(細菌や白血球・癌細胞からの因子)がここを刺激して発熱します。発熱しますと体内からアドレナリン等が放出され、血管に直接働きかけて熱の放出を促したり、白血球を増加したりして異物に抵抗して熱を下げようとします。そして発熱を促す物質がなくなると(病気が治ると)熱は自然と下がるように調節される訳です。ですから抗生物質などは直接解熱作用はありませんが、原因を取り除くことにより熱が下がる結果となります。ウイルス感染では自分のウイルスを退治して熱が下がります。つまり解熱剤で熱を下げても、原因が残っていれば再度上昇しますが、病気が治って下がれば再び上がることはありません。
お母さんの看護婦日記をつける意味もそこにあります。でも熱があって、呼吸や脈拍が多いと体の負担が増すことがあります。心臓や呼吸器に病気のある方では早めの使用が必要となりますが普段から元気な乳幼児ではほとんどの場合使用しなくても大丈夫です。ただ夜に心配で救急病院に受診しようと思った時、そしてその理由が発熱だけだったなら、ちょっと解熱剤を使って様子をみてもいいでしょう。受診するより自宅での安静のほうが大切なときもあります。
一般的に解熱剤の使用間安は38.5℃以上で苦しそうなとき、使用する解熱剤はアセトアミノフェン(カロナール・
アルピーニ・アンヒバ等)が目安です。20㎏を超えていればイブプロフェン(ブルフェン)も安全です。ポンタールや小児用PL顆粒は小児には使いません。解熱剤をもらうときに確認すると良いでしょう。(OCFC院長)
予防接種に含まれる水銀の副作用が誇大に言われているのかもしれません。含まれている水銀はエチル水銀(チメロサール)で半減期は7日といわれています。体に蓄積するわけではないので比較的安全です。最近問題になった魚に含まれる水銀は、水俣病の原因となったメチル水銀でこれは半減期が1、5ヶ月であり、体に蓄積する傾向が強いわけです。
水銀を含むワクチン接種の結果自閉症児が増加した、または発達に遅れが出たという報告もありましたが、その関係は証明されませんでした。最近の水銀含量は小量ですので全身の副反応はないようですが、注射部位での腫れや、一部組織のDNAの傷みが報告されており今後の課題として残っています。また排泄は便中ですので環境汚染の原因ともなります。
以上の理由よりはっきりした因果関係がある強い福反応がなくても、含まれていないほうがよいわけで、実際アメリカCDCでは水銀を含まない予防接種に切り替えるよう勧告しています。
水銀は不活化ワクチンに含まれており、DPT、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎ワクチンに含まれています。しかし日本ででも水銀は添加されない傾向となり、OCFCでは日本脳炎ワクチンは水銀が含まれないものを現在採用しております。DPT・B型肝炎ワクチンでは依然として含まれていますがその中でも含量の一番少ないものを採用しています。今年の10月から開始されるインフルエンザワクチンでは水銀が全く含まれないものを採用する予定です。水銀が無添加となると注射時の傷みや局所の腫れも少なくなります。
水銀が含まれなくなって問題になるのは品質管理ですが、OCFCでは温度モニター付きの医療用専用冷蔵庫にて保管しています。このワクチンは乳幼児・学童および妊娠されている方(将来可能性のある方)には是非採用したいワクチンです。
扁桃はかつてはその役割がわかっていなかったため、切り取る(摘出)事が多かったですが現在はその働きが理解され、安易にはおこなわれず一定の基準の基に行うことになっています。
扁桃の役割とはその位置を考えると理解いしやすいのですが、鼻、口からの異物の侵入に対する関所の役割です。細菌やウイルスが侵入すると扁桃にあるリンパ球から抗体をつくって、病原体と戦うわけです。抗体は生まれたときからすぐ作れるわけでなく、徐々に抗体を作る能力が備わってくるようです。その免疫能の発達とともに扁桃も成長し、大きくなります。その発達は4~6歳ぐらいをピークとし、一般的にはその後徐々に縮小するのが普通です。保育園・幼稚園に通うようになったら急に扁桃が肥大したというのはこの自然経過を言っていることもあります。
さて、それでは扁桃を取る基準とはなんでしょうか。まず扁桃が繰り返す感染巣となっている場合で、繰り返す溶連菌を始めとする細菌感染症です。単に喉が腫れている、赤いというだけでは摘出の根拠にはなりません。幼児期ではヘルパンギーナ等のエンテロウイルスや、アデノウイルス、インフルエンザウイリスなどの咽頭を病巣とする病気が多く、しょっちゅう発熱することが多いですがこのことは扁桃を摘出する理由にはなりません。しかし、実際に感染巣がある扁桃あるいはアデノイドを抽出すると発熱が治まるとともに、 出性中耳炎や副鼻腔炎、腎炎(溶連菌感染の場合)が同時に治ることもあります。また、年に数回以上扁桃が腫れて発熱を繰り返す時は、習慣性扁桃炎、慢性扁桃炎として取る場合もあります。
もう一つの基準は扁桃が肥大しているために睡眠時 が強く、呼吸困難になる患者さんです。こういった患者さんにはOCFCでは2晩ぐらい自宅で睡眠時にモニターをつけて頂いて血中の酸素飽和度を調べます。(痛くはありません)それで異常があれば大学病院に紹介して、1晩脳波と心電図と呼吸を調べ、咽頭肥大が原因であれば扁桃摘出ということになります。その他肥大により飲み込みができない方も取る場合があります。扁桃は感染を防ぐ上で大切な臓器です。摘出すると元には戻せません。取るかどうかの判断は慎重にありたいものです。(OCFC院長)
夏は肌を露出して遊び汗もかきます。お友達と肌を接する事も多いようです。そういったことが夏に皮膚官患者を増やす原因の一つでしょう。それでは一つ一つお話していきます。
とびひについて:とびひはブドウ球菌や溶連菌による皮膚の感染症です。そういった細菌は鼻腔にいますので、鼻をいじった手で体を掻きますととびひが広がっていくことになります。腋の下など皮膚がこすれ合うところにも広がりやすいことになります。皮膚科に受診するととびひ部分の処置が中心のようですが、これは感染症ですから適切な抗生剤をきちんと飲むことが一番です。抗生剤の内服により通常一週間以内になおります。家庭で大切なことは局所を清潔に保つこと。シャワーでよく汚れをとり、処方された軟膏を塗ります。日に3回くらいシャワーで清潔にして軟膏を塗りましょう。カットバン等で局所を覆うのはできるだけ止めましょう。早く乾燥させた方がいいのです。難治で繰り返す場合はピオクタニン青い水液を塗って乾かすこともあります。乾燥するまでプールや水遊びはできません。
水いぼ:水いぼは伝染性軟属腫といってウイルス性疾患です。肌をこすりあわすといぼの部分がつぶれてうつっていきます。プールに入る前に治すように言われることが多いようです。ウイルス疾患ですからなにもしなくてもそのうち(3-4ヶ月の時もあるし、1年後かもしれない)自然と治ります。すぐ治すにはピンセットで取ります。とても痛いので優しい小児科医は通常取ることを好みません。OCFCではどうしても取ってほしいと希望されればテープの局所麻酔をして取ることもあります。お薬で治す方法もあります。1-3ヶ月かかりますが、服用していればだんだん赤くなって、熟してくるようになりそのうち消失します。OCFCではこの方法を推薦しています。
アトピー性皮膚炎:アトピー性皮膚炎も夏に悪化します。とびひと同じように汚れからブドウ球菌などが増殖してアトピー症状も悪化させます。やはりとびひと同じようにまめにシャワーを浴びて汚れを取り、一生懸命保湿剤を塗ることです。保湿剤は3-4時間しか持ちませんから最低で一日3回、できたら4回塗りましょう。ひどいところはステロイド軟膏を使ってもいいですが、ステロイド軟膏は何ヶ月も続けて使用してはいけません。続けて使用してステロイド皮膚炎となったりするとどう直していいかわからくなります。
結局夏はまめにシャワーを浴びて皮膚を清潔にすることが一番大切です。(OCFC院長)
アトピーはIgE抗体の存在により発生する不愉快な生体反応ですが、実際の症状はヒスタミンやロイコトルエン受容体拮抗剤と吸収ステロイド薬による治療となってきております。これらは従来のキサンチン製剤(デオドールなど)とβ刺激剤の吸入(マプチンなど)による管理にとってかわりつつあります。β刺激剤の吸入薬はなんといっても突然死の問題があり使用には充分な注意が必要です。(もちろん注意を守って使用すれば大変有効で安全なお薬です。)
発作が管理できていれば収入1日に1回に減らせ中止することも可能ですが、ロイコトルエン受容体拮抗剤はアレルゲンがハウスダストやダニの場合(これが大部分ですが)根本的な治療ではありませんので長期に服用する必要があります。今後は原因物質であるIgE抗体が作られなくなるような治療法の開発に進むと考えられます。
さて、ご質問のお薬以外の治療法ですが体の鍛錬と食事療法があると思います。体の鍛錬については従来から乾布摩擦、冷水シャワー(温水だはないという程度の意味です。決して氷水ではありません。)水泳などがあります。これらはいずれも自律神経の交換神経の働きを良くする意味があります。交換神経からは気管支を拡張させるアドレナリンが分泌されますし、また発作を起こすロイコトルエンの産生も抑制します。自律神経の緊張は自分の体からのステロイドの分泌も促します。水泳は特に顔を水につけた状態が呼吸機能を改善させるようです。乾布摩擦はアトピー性皮膚炎にひゃ不向きですが、暖かい今の時期から、水をあびたり水泳をしたらよいでしょう。乾布摩擦は毎日15分くらい続けて下さい。食事はバランスの良い食事をすることが一番ですが、肉食より魚食のほうがよいと言われています。それは肉、乳製品、大豆に含まれるリノール酸がロイコトルエンの産生を促すためで、魚肉に含まれるリノレン酸はその作用がありません。また、食用色素の中にもアレルギーを助成させるものが含まれていると言われています。アトピー症状を出やすくすると言われている食品もあります。ナス・トマト・ゴボウ・ソバまたイカ・タコ・アサリなどはアレルゲンではなくてもアトピー症状を出やすくします。
また、心のあり方も大切です。イライラしたり緊張していると末梢神経から神経伝達物質が分泌されます。これらはヒスタミンやロイコトルエンと類似の働きがありアレルギー反応が誘発されます。心穏やかに生活することが大切ですがこれが一番難しいと院長は考えています。(OCFC院長)
1歳くらいのお子さんがしょちゅうう熱を出したり、咳やゼイゼイしたりしているとお父さんやおばあちゃん、お隣の奥さん・幼稚園・保育園の先生からいろいろ云われて大変でしょう。お子さんの熱はそんなに悪いことなんでしょうか。ここはじっくり考えてみましょう。
乳幼児は生理的に空気が通る鼻腔・上気道が狭く、また柔軟性に富んでおりゼイゼイ云いがちです。この上気道から発生する音を肺からの音と勘違いして、肺炎になったと考える方も多いようです。この場合熱も無く、食欲があれば(体重増加が認められれば)大丈夫です。ただ2歳以下では呼吸器の免疫が充分発達していないので肺炎になりやすいことも事実です。
実際冬にはRSウイルス等による細気管支炎にかかると呼吸ができにくくなり入院となることが少なくありません。でもそういったお子さんでも3歳過ぎれば自然に抵抗力ができて、肺炎にまでいかなくなります。
さて熱の原因となる感染症はいくつぐらいあるでしょう。はしかや水痘それに突発性発疹のウイルスは2種類あります。夏の咽頭結膜炎になるアデノウイルスは8種類、ヘルパンギーナや手足口病の原因ウイルスであるコサッキーウイルスはそれぞれ12種、7種以上のエンテロウイルスもあります。冬の下痢の原因になるロタウイルスは4種類以上、今年流行の小型球形ウイルスは充分解析されていませんが10種類以上となり、インフルエンザウイルスは変身を繰り返します。そのほかのウイルスも加えると100種類を超えます。さらに細菌感染症では溶連菌やインフルエンザかん菌、肺炎球菌などがあります。従って4歳までにウイルス性疾患に罹るとしたら年間25種ウイルスと戦い、月4回の発熱となります。さらに細菌による発熱があります。言い換えますと普通の健康な幼児でも月4回の発熱は大きな問題ではありません。それどころか感染を繰り返すごとに免疫力が上昇しているといえます。子供の頃一生懸命に病気になり、免疫をつけていれば丈夫な大人になります。
なにか感染症に罹ることと勉強することは似ていると思いませんか。まさに子供は発熱して成長しているのです。子供が感染症に罹ったら心配でしょうが、小児科医と連絡をとりながら見守り応援してあげてください。自分の力で治ることも必要です。小児科医はそれをお手伝いします。そして必要なときには必要なだけ医療を提供します。子供も頃の発熱は学校での模擬試験です。(OCFC院長)
ハイOCFCでは昨年の11月から病児保育室を始めました。この事業は大田区からの委託でおこなっています。大田区内に在住の方及び区内の保育施設に通われている区外の方は1日2500円でお預かりしています。その他の方のご利用はど相談ください。お預かりできる時間は朝8時30分より夕方5時30分までです。0歳から8歳ぐらいまでの乳幼児・学童が対象です。利用にあたっては事前登録が必要です。利用をご希望される保護者の方はまず事前登録してください。クリニック窓口またはホームページで事前登録用紙を受け取ってください。
申し込みはご家族の写真も必要なので直接窓口に申し込んでください。
預かる子供になにか条件がありますか。 月齢・年齢相当の予防接種がすんでいることが必要です。特に1歳児での麻疹、それ以降での
風疹、水痘、流行性耳下腺炎、流行期でのインフルエンザワクチンは必須です。まだお済でない方はご相談ください。それ以外はありません。
どんな病気でも預かってもらえますか。 原則的にはどんな病気でもお預かりいたします。しかし施設としては保育室と隔離室に分かれている
だけですので、病気によっては同室できない場合お断りすることがあります。麻疹や水痘、インフルエンザ、嘔吐下痢症の方をお預かりしている場合別の病気の方はお預かりできない場合があります。先に申し込まれた方を優先いたします。
食事はどうなっていますか。 保護者の方の持参が原則です。病気にあったお食事をお持ちください。保育室で冷蔵保存として、食事時に温めてお出しします。ミルクもご持参ください。場合によっては保育室で常備しているミルクあるいは離乳食をご利用いただくことも可能です。申し込みの際ご確認ください。
かかりつけ医はOCFCとは関係ない先生ですが。 かかりつけ医による差はありません。その先生が預けることが可能と判断し、医師連絡票を書いていただければその場で予約可能です。医師連絡票は保育園、あるいはOCFCHPからダウンロードできます。お申し込みは原則前日8時30分からです。当日定員に満たない場合は当日でもお受けできます。(OCFC院長)
1年に何度も嘔吐下痢症にかかるとはお気の毒です。原因病原体はいっぱいあるんです。子供がかかる嘔吐下痢症はほとんどがウイルス性です。ウイルスで有名なのが冬季下痢症の原因ウイルスであるロタウイルスです。便が白くなるのが特徴ですが、このウイルス実は3月4月のほうが頻度は多いのです。現在流行中のアデノウイルスの中にも嘔吐・下痢症状をしめすものもあります。あまり重症感はないのですが2週間くらいだらだらと症状が続きます。冬の嘔吐下痢症の多くは小型球形ウイルスノロウイルス、ノウォークウイルス)が原因ですが、今年は1年中暴れていました。食品のカキなどからも発症し、食中毒の原因となることもあります。潜在期は24時間。患者さんに接触後翌日には発症します。嘔吐は半日から1日半、その後下痢となる方が多いようです。下痢は2~3日くらい続きます。細菌による嘔吐下痢は比較的少ないのですが、恐ろしいのは夏場のO-157病原出血性大腸菌による腸炎です。細菌感染症の原因はそれ以外にサルモネラやキャンピロバクターなどもあります。
[対策] 嘔たら飲むなが原則です。吐き止めの座薬を使用して、3時間禁飲食。3時間後からアイソトニック飲料を始めて、6時間後くらいから炭水化物の食事を開始します。油を使った料理は最初は避けます。下痢・嘔吐が同時におこり1日以上続くと水分が補給できていても脱水になります。少し塩分の濃い目の電解水を飲んだほうがいいでしょう。OCFCではソリタT2顆粒を処方しています。点滴が必要なかたはほんのわずかです。尿が半日以上でなかったら点滴の必要な場合もあります。
下痢には体外ウイルスや細菌、毒巣えお排泄する大切な症状です。病初期には強い下痢止めは使用してはいけません。嘔吐の治療は胃の動きを亢進させ、下痢の治療は腸の動きを抑制します。お互いに相反する薬理作用ですから同時にすることは困難です。最初は吐き止めと整腸剤で治療するのがいいでしょう。(OCFC院長)
鼻と耳は耳管で繋がっています。この耳管は乳幼児ではより水平に近く、また短く、太いので鼻からの分泌物が中耳へ移行しやすく、したがってウイルスや細菌も移動して中耳炎を起こしやすくしているようです。中耳炎は一度かかると月齢が低いほど反復しやすいようです。また2歳までは感染から体を守る抗体の産生が悪いのも中耳炎にかかりやすい原因のひとつです。
毎月のように急性中耳炎を発症している人の中には抗体が作れない無ガンマグロブリン血症の方も含れます。このような易感染性の疾患(すぐに感染しやすい体質)の診断はOCFCでできます。じっくり外来を受診されてください。
中耳炎の原因にはウイルス(インフルエンザ、パラインフルエンザ、RS)、や細菌(肺炎球菌、インフルエンザ梓菌)があります。欧米では肺炎球菌ワクチンで予防する国が多いようですが、どうも中耳炎には効かないようです。
中耳炎の治療は耳鼻科医により差があるようですが、最近米国、欧州各国で一定の決まり(ガイドライン)ができてきています。日本でも外来小児科を中心に作られてきています。これは従来の治療が抗生剤の過剰投与の可能性を考えての反省から出来上がってきています。ここではそれらのガイドラインの概略を紹介します。
中耳炎には急性中耳炎と滲出性中耳炎(耳腔に水がたまっているが、急性炎症のないもの)にわlナられますが、急性中耳炎とはっきりしている症例以外は無治療で経過をみます.急性中耳炎でも無治療と抗生剤投与、鼓膜切開とで差は無いそうです。重症の例では初期に短期間5日程度の使用が効果的で、この期問を超えて長期に内服しても効果は無いようです。
重症例以外では原則として2歳以上3日間、2歳未満2日間は鎮痛剤のみで経過をみます。症状の改善が無ければ抗生剤の投与が選択肢になります。重症例とは3歳未満で、39℃以上の発熱、白血球数が15,000以上のとき、全身状態が悪いときなどです。この場合は抗生剤の投与が必要です。
抗生剤はAMPC、5日間が原則ですが効果が無ければ静脈注射が必要となる場合もでてきます。症状が無くなれば鼓膜が多少赤くとも抗生剤の長期投与は必要ないようです。
耳鼻科医によってはマクロライド系の抗生剤を長期に処方する場合もありますが、これは抗菌剤としての使用よりは消炎作用を目的とするものです。この場合の使用量は半分量となり1日1回内服となります。
ここに述べたお話は中耳炎の一般論です。鼓膜所見を正確に取れるのは耳鼻科医です。耳鼻科の先生から抗生剤や鼓膜切開の必要性を説明されたら、よく聞いて、納得されたらその方針に従いましょう。
(OCFC院長)
子供のお熱心配ですね。特に乳児は泣いたり、ぐずったりでどこが悪いといってくれません。夜にお熱に気がつくと、相談する相手もいないし、救急病院に行くべきかどうか不安な時間が訪れます。でも赤ちゃんのお熱は38℃以上と考えてください。38℃台でも機嫌がよくて、水分をとり、お目目に表情があれば大丈夫なことがlまとんどです。お熟の原因は体の中に発熱の原因となる物質ができるためです。細菌、ウイルス、がん細胞などの異物が体の中の細胞を刺激して発熱の原因となる物質をつくります。そこで赤ちゃんの発熱の原因は主に細菌かウイルスということになります。
赤ちゃんはお母さんからお臍をとうしてウイルスに対する抗体をもらい、母乳から気管支炎や胃腸炎を防ぐIgAという抗体をもらいます。3ケ月までにお熱が出ることが少ないのはこの母親由来の抗体のためです。この母親からの抗体は6ケ月から12ケ月ぐらいで減少し、変わって子ども自身の抗体が増えてきます。この時期に合わせてウイルス感染症にかかりやすくなるわけです。代表的なのが突発性発疹、夏風邪のコクサッキーやエコーウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどに順番にかかるわけです。インフルエンザをのぞlナぱlまとんどのウイルスは一回かかると2回かかりません。免疫学的記憶ができるわけです。風邪にいつもかかっていた病弱な子供が、小学生になって病気ひとつせず遊びまわれるのがこの免疫学的記憶のおかげです。ウイルスは麻疹やインフルエンザをのぞけばほとんど重症化せずに自然経過で治りますが、細菌感染症はそうは行きません。その代表格が髄膜炎、中耳炎、尿路感染症ですO中耳炎や尿路感染症は発熱以外症状がないことが多いようです。そのため中耳炎では鼓膜を見る、尿路感染症では尿の検査をすることが大切です。中耳炎、尿路感染症を見逃すと髄膜炎になって大変重い状態になることがあります。中耳炎はそれでもお風邪からの中耳炎、滲出性中耳炎が多く必ずしも治療しないで治ることも多いようです。したがって見逃してはならないのは尿路感染症となります。でも尿路感染症の診断は簡単です。オシツコをテープで調べ、顕微鏡でチェックすれば見逃すことはありません。
一番大変なのはこのオシッコを採取することなのです。赤ちゃんにオシッコを調べるよといってもオシッコをしてくれません。そこでOCFCでは尿パックをオシッコの出口(外陰部)につけます。オシッコするまで何時間も待つこともありますので、場合によっては診察する前の待ち時間にこのパックをはることもあります。お熱以外に咳とか鼻水、嘔吐、下痢などがない場合です。看護婦からよく説明をうけて、納得してから検査を受けてください。医師の診察後に検査を受lナたい希望がある方はその旨を看護婦にお話ください。この尿路感染症、通常は治療が容易です。抗生剤の内服ですぐなおります。1週間以上症状が続いたり、繰り返すようであれば尿の通り道(腎臓・尿管・膀胱・尿道)の異常(尿の逆流など)があることがあります。超音波やレントゲンの検査が必要です。
熱が続く、食欲不振(水分も取れない)、頭の一部(大泉門)が膨らんでいる、とっても不機嫌などの症状があれば髄膜炎を疑います。嘔吐、痙攣などの症状も出ますが、こんな症状が出る前に受診したいものです。
ともあれ、1ケ月までの発熱は原則入院、1歳までの発熱は検尿が原則です。
(OCFC院長)
飲んでピタと止まる咳止めを出さなくて申し訳ありません。丁度良い機会ですから咳や鼻水の役割について考えてみましょう。
私たちは体の外から空気を肺に取り込んで呼吸しています。汚れた空気を吸い込むと体に異常が起こりますのでこれを排除しなければなりません。そのため異物がのどに入ると、のど(咽頭)にある神経により、咳反射が起こり異物を除去します。 また肺内からの老廃物(痰など)も咳の力で排出する事ができます。鼻水も鼻腔内の汚れの除去に役立ちます。
しかしあまり咳や鼻水が強いと喉や鼻腔炎症が強まったり、気道過敏性が増してますます咳・鼻水が強まります。つまり咳・鼻水は状態により、押さえた方がいい場合とかえっていけないいけない場合とがあります。
風邪をひいた当初は比較的優しい鎮咳剤を使用して、長引きますと気道過敏性が増しますので強い咳止めや抗アレルギー剤を使用することがあります。鼻水止めの中には直接分泌を止める作用を持つものがありますがこれを使用すると痰が粘稠となり
かえって息苦しいことがあります。鼻水を簡単に止められない理由となります。喘息患者さんでは咳止めも強いものは使用できません。
痰を吐き出しやすくする薬や気管支拡張剤が中心となります。私たち医師はさまざまな薬の中から患者さんの状態にあった薬を選択していますので、思うような効果がないときは理由をお尋ねになり、場合によっては時間的余裕をもって治療にあたってください。
ついでですが乳幼児は私たちのように痰を吐き出すことができません。それで、痰(空気が通る道、気道に溜まった老廃物)を出すために吐くことが必要となります。乳幼児が咳をして吐こうとしているときは病気と戦って勝とうとしているんだと考えてください。見事打ち勝って吐き出しますと、その後は呼吸が楽になるものです。
花粉症の様ですね。この病気は症状が出てから治療を始めてもなかなか効きません。一番のポイントはアレルゲンは何か。そしてアレルゲンから暴露される1~2週間前からの発症前の予防です、アレルゲンの検索は採血する事により、容易に調べる事が出来ます。スギ花粉症であれば1月頃中旬頃から予防を開始する事が必要です。5月頃まで続けますが、ヒノキの過敏症があれば6月過ぎまで、イネ科の過敏症があれば7~8月頃まで必要たなります。さらに秋のブタクサあるいはダニにも反応があれば一定期間、1年を通じて予防・治療する事になります。
さて、予防ですが抗アレルギー剤の内服、鼻腔・眼などに対する局所治療の2本立てが標準です。薬にはステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー薬などがあり、これらを組み合わせて使用する事になります。ステロイド剤の経口内服は副作用の点からも長期の使用は勧められませんが、局所での使用(鼻腔、口腔等)は最近副作用の少ない製剤があり、むしろ積極的に使われる場合もあるようです。点鼻の抗アレルギー剤で効果発現は1週間後、経口の抗アレルギー剤で2週間前後からですので、スギ花粉症では1月中旬から使用開始が最善という事になります。どの製剤をどう組み合わせるかは個人個人で異なりますので早めにご相談下さい。通常経口薬1剤、局所予防薬1剤の組み合わせですが、重症な方では局所予防薬を2剤、さらに発作時に1剤追加して使用する事もあります。
さて、一番の方法はアレルゲンに接触しない事です。しかしアレルゲンのない場所に移住する事は容易な事ではありません。
それで次善の策としてアレルゲンを減らす方法、即ちマスクや手洗い、うがいを行う、が導入されていますが、一般家庭用ではありません。
とにかく肝心な事は「先んずればアレルギーを制す」です。(院長)
お薬だけ出してちゃんと説明しない専門医は困りますね。それでは私が治療について説明しましょう。花粉症は(1)スギ花粉等のアレルゲンがあること。(2)花粉が体について花粉が侵入し抗体ができること。(3)抗体と侵入した花粉が結合してマスト細胞を刺激してからだの中に化学伝達物質ができること。(4)化学伝達物質が鼻や目にとりつくこと。の結果鼻水や涙が出てくるわけです。予防薬は(3)と(4)のところに作用して効果をだ出すわけでしれには2週間ほどかかります。薬の使用についてはOCFCニュースのvol.5に説明してあります。
でも最も重要なのは花粉が体に侵入しないこと、すなわち(1)と(2)です。花粉が無ければいいのです。実際スギの植林がそれほど多く無かった頃は花粉症はなく、またスギの少ない関西方面は関東より症状が軽いそうです。でも現実的に皆さんが簡単に関西や北海道または海外に移住できるわけではなく、ここでは体につかないためのノウハウをお知らせします。
まず部屋の掃除方法:掃除機をかけますがホースを長くして噴出し孔はベランダ等部屋の外に置きます。最近は噴出し孔のない掃除機も市販されています。濡れた雑巾かけは効果的です。お布団を干したら必ず表面を掃除機で花粉を除去しましょう。布団乾燥機は効果的です。
窓は極力開けない事。換気をしたら空気清浄機も使いましょう。
外出時:メガネ・マスクは必需品。メガネは防御カバー付がよいですが、とにかくどんなメガネでもかけましょう。コンタクトレンズは刺激になります。またコンタクト装着中は原則として点眼薬は使えません。マスクは高価なものより安価なものを毎日とりかえるほうが衛生的です。帽子もできたらかぶりましょう。
帰宅時:外 、帽子、メガネ、マスクは居間や寝室に入る前にはずすこと。うがいをして顔を洗い、目を流水で洗います。鼻孔も洗いますがなかなか面倒。OCFCでは洗浄液をお分けしています。重曹・生食水で特別な薬剤は入っていません。鼻孔にスプレーすると、鼻水がどんどん出てきます。そこで鼻をかむと花粉が洗い流されるわけです。帰宅時、就寝前にお試し下さい。外気に曝した衣服は着替えます。
入浴は寝る前にとっとかないで、お早めに。髪の毛はまめに洗いましょう。
花粉情報:新聞やニュース、インターネットで花粉情報をしらべて大量飛散日は外出を控える。
これだけやればかなり症状は軽くなるでしょう。来年からは早めの予防薬1剤だけでシーズンを乗り切れるといいですね。予防薬開始は花粉観測日と花粉飛散開始日との間、1月中旬が目安です。(OCFC院長)
離乳期も後期になると、このような「中だるみ」状態がよく見られます。お母さんとしては今までよく食べ、 順調だっただけにご心配だと思います。このような状態は多くの赤ちゃんに見られますし、そのほとんどが一時的なものです。お子さんの全体の様子を見て、元気がありいつもと変わらなければ心配要りません。もう少し待ってみましょう。このようなときに大切なのことは「食事嫌いにしないこと・無理強いしないこと」です。具体的には叱ったり、無理に口に入れたり、椅子に固定したり、追いかけて食べさせたりしないことです。このようなことをすれば食事の時間が苦痛なものとなります。テレビやビデオを見せながら口をあけたすきに食べさせる方もいますが、これも止めてほしいと思います。食べるということは、単に栄養素をとり入れるだけではなく、良く味わいながら、楽しくすることなのです。食事のときお腹が空いているかどうか、生活のリズムを見直してみてください。充分に空腹で食卓につくということは案外見落とされています。食事時間は30分程度として、それ以上は思いきってかたずけるのもひとつの方法です。今までのように食べなくても、「食事は決まった時間と場所でしか食べられない」と学んでいく時期なのです。食事しないからといって、おやつやジュースを与えると、さらに食事ができなくなります。それよりもお散歩に行ったり、一緒に遊んだりして生活にメリハリをつけましょう。夜も早めに就寝できるといいですね。できたらお母さんも一緒に座りお食事をしましょう。そして赤ちゃんが自分で手を出して是非そさせてあげてください。赤ちゃんの自我が芽生え始める大切な時期なのですから。スプーンやフォークも使いたがるでしょうがまだ無理ですのであまり急がないで下さい。(院長)
土曜日の午後の栄養指導を行っています。離乳食の相談から、肥満児対策までどうぞお気軽に起こし下さい。生活習慣病の食事指導も行っています。(栄養士 関 典子)
咳に関するご質問は2回目ですね(OCFC NWES VOL3)。前回は咳がどうして出るのか、その生理的な意味を説明して強い咳止めを使えない理由をお話しました。つまり咳は異物が気管・肺に侵入することを阻止し、気管支炎・肺炎では病巣部位の掃除に喀痰の排泄を促す意味で必要であるとお話したわけです。今回この質問はちょっと意味が違いますね。1・2ヶ月続く不快な咳をどうしたら止められるのかという意味だと思います。一部のお母さんはわが子が特別抵抗力の弱い子ではないかと心配する方のいらっしゃいますがそういった免疫不全の状態の方はおそらく10万人に一人ぐらいです。もっともOCFCには東京女子医大や慶応大学病院から紹介されて
相談に見える方もいらっしゃいます。開設してから2年間で成人・小児を含め4人の免疫不全症を診断致しています。
さて長く続く咳の原因は一般的になんなのでしょうか。それには大きく分けて3種類の原因が考えられます。感染症によるもの、アレルギーに起因するもの、鼻水、副鼻腔炎などの鼻疾患によるものです。小児の咳を伴う感染症の多くはウィルス性であり抗生剤の投与は必要ないとされています。しかし咽頭所見がなくても10日以上咳が続く場合は抗生剤が必要なときもあります。3・4歳以降だはマイコプラズマ肺炎などを考えての治療が必要です。このような場合はジスロマック等の抗生剤を内服します。肺炎の後では炎症が治まったあとに感染症後の 延症の咳として長く残ることもあります。この場合はクラリス等のマクロライド系の抗生剤を少量1ヶ月間使用することもあります。また一部の症例では気道が敏感になていると予測してアレルギー性の咳に準じた薬剤を使用することもあります。
さて、アレルギー性の咳ですが、喘息のように喘鳴が聞かれないで咳だけが続く場合を咳喘息と診断することがあります。喘息と同じようにハウスダストやダニといったアレルゲがはっきりすることがあります。夜間の典型的な咳 息のパターンは寝入りばなと明け方の咳です。床に入って15分ぐらいで咳が始まり、30分から1時間でなおったあとおよそ数時間後の明け方再び咳が始まることです。この場合は 息と同じ予防的な治療が必要となります。即ちオノンやキプレスといった抗アレルギー剤の内服とステロイドの吸入です。
ステロイドの吸入は学童からの使用となります。
鼻水が続き、副鼻腔炎になりつつあると後鼻漏といって溜まっている分泌物が寝ている間に喉に回って咳がおこることがあります。
また幼児に多い口呼吸も喉を乾燥させて咳の原因となります。副鼻腔炎になっていたら耳鼻科に行きましょう。でも初回の状態では良く鼻をかませることが大切です。決してすすらないように教えて下さい。口を閉じて片方の鼻孔を押さえて片方づつ鼻をかむようにしましょう。鼻閉でかめないときは赤ちゃんだったらお湯を1~2敵鼻腔にたらしてみて下さい。OCFCにあるハナセン(重曹・生食水)
も有効です。その後一生懸命鼻をかみます。特に寝る前に。そして朝起きたらコップ一杯の湯冷ましを飲ませてあげて下さい。ほら咳が止まった。(OCFC院長)
当クリニックでは喘息発作時の吸入、ネオフィリンの点滴が受けられます。発作がひどいときには経皮モニターで血中の酸素分圧を計りながら治療を行います。必要なときには酸素吸入もできます。発作の状態にかかわらずご相談ください。
その時他院におかかりの方は処方内容をお知らせください。喘息の薬は量を調整しないと副作用が出現する事があります。
当クリニックで点滴施工して改善がみられないときはおかかりの病院や当院関連病院(東邦大学小児科、都立荏原病院等)にご紹介いたします。また喘息は毎日の管理が大切です。
当院ではスパイロメーターやピークフローメーターを用いて呼吸機能を計測して、アメリカのNIHや日本アレルギー学会のガイドラインにもとづいて管理を行っております。一度相談にいらしてください。(院長)