医療法人社団 オーシーエフシー会
〒146-0095 東京都大田区多摩川1-6-16

診察室から

診察室からイラスト

*溶連菌流行中です。

*マイコプラズマ感染症流行中です。


溶連菌感染症

溶連菌感染症とはA群β溶連菌(化膿性連鎖球菌)による感染症です。おのどが赤く痛々しく腫れて、熱が出ます。体・顔・手足に赤い発疹が出ることがあります。

舌がイチゴのようになって赤く腫れ、目が赤くなることもあります。この病気はどの抗生剤を飲んでも1-2日でよくなりますが、不十分な治療のままやめてしまうと

腎臓が悪くなる(急性糸球体腎炎)、リュウマチ熱、皮膚に出血の跡がでる紫斑病の原因となることがあります。

そのためOCFCでは抗生剤を10日間内服していただいています。溶連菌は通常お医者さんが許可するまで(1-2日ぐらい)登校(園)はできません。

<診断方法>

上に記載した特徴的な症状とともに、確定診断は喉をこすった綿棒で迅速診断(10分ぐらいかかります)または咽頭培養(5日間位かかります)で溶連菌を確認します。

<治療法と検査の予定>

確定診断できれば抗生剤を飲みます。ペニシリン系の薬をのみます。2日ぐらいで効果がはっきりし、園や学校に行けるようになります。10日間服用を続けます。

腸内細菌にあまり影響がないビクシリンやサワシリンがいいでしょう。

短期間に感染を繰り返すときは咽頭培養を行いほかの細菌の有無、家族の溶連菌の検査が必要になります。

元気になったからといって抗生剤を中止しないでください。治療終了後の効果判定のために、検尿をします。採血での検査が必要な方もいらっしゃいます。

<注意>

抗生剤を飲み始めた後、体に発疹が出現することがあります。多くは溶連菌が死んで毒素が放出されたためですが、薬疹のこともあります。薬を中止する前に御来院ください。

家族にもうつることがあります。心配でしたら受診しましょう。

熱が下がればお風呂に入りましょう。

溶連菌は咽頭炎以外にとびひや中耳炎・副鼻腔炎の原因でもあります。

マイコプラズマ感染症

長びく咳や発熱が続くときはマイコプラズマ感染症が疑われます。疑いがある場合は迅速検査ができます。

XP所見は強いですが、全身状態は良くこのため、非定型肺炎、異型肺炎とも呼ばれています。

どんな病気:感冒様症状から気管支炎、肺炎となります。頭痛、発熱、倦怠感。乾性の激しい咳と発熱が1-2週間続きます。

               咳は3-4週間続くこともあります。発疹が出ることもあります。全身状態はよく比較的元気に過ごせます。もし治療を受けなくとも自然に回復します。

合併症は:中耳炎、心筋炎、溶血性貧血、髄膜炎があります。末梢神経障害もおこります。

原因は:マイコプラズマという病原体で起こります。細菌より小さく、ウイルスより大きいサイズです。このため通常の抗生剤は無効で、

            マクロライド系やニューキノロン系抗生剤が有効です。潜伏期間は2-3週間です。

検査:白血球は正常、血沈は亢進します。迅速検査でIgM抗体を調べます。

         寒冷凝集反応が高値を示します。異常に高値の場合は、寒冷刺激で溶血が起こり、貧血になることもあります。

治療法・予防法は:マクロライド系抗生剤であるクラリスやジスロマックを内服します。

          ジスロマックはよく効きますが飲みにくいので、飲めない場合には胃チューブで直接お薬を入れることもあります(希望者のみ)。

予防法はマスクの使用、うがいの励行など古典的な方法だけです。集団生活で流行することが多い感染症です。疑われたら登園、登校は控えます。

腸重積にもご用心

感染性胃腸炎の時に腸重積を合併することがあります。乳幼児(2歳以下)で不機嫌、食欲低下、嘔吐、粘血便があるときに疑います。特にイチゴジャム様の血便がでたら迷わず病院に直行してください。夜間でも救急病院を受診してください。

嘔吐・腹痛・下痢のときに感染性胃腸炎以外で鑑別しなければならない疾患

a)腸重積

 1歳以下で好発。嘔吐・不機嫌、哺乳力低下、イチゴジャム状の血便

b)髄膜炎

 嘔吐・痙攣・不機嫌・哺乳力低下

c)虫垂炎

 腹痛・嘔吐・不機嫌・哺乳力低下

乳児では特徴的な所見が無い。

d)睾丸捻転症(精巣軸捻転)

 睾丸の痛み、発赤、腫大。悪心、嘔吐、疼痛を訴える。

下痢はない。12歳以上に多く、幼児ではまれである。

数時間以内で手術が必要。24時間以上放置で壊死をおこす。


スポーツ飲料を過信しないで!

嘔吐下痢症の方は水分の補充が決めて。また夏季に長時間汗をかくような環境にいるとどうしても水分がほしくなります。最近ではそんな時スポーツ飲料を飲むことが多くなりました。ブドウ糖やナトリウムなど電解質が入っているため、脱水の予防や直ぐ元気になるなどの効果が期待できるからです。

  確かにスポーツ飲料は食塩が含まれていていいのですが、それでも足りないのです。それで食事をしないでスポーツ飲料だけで過ごすと、低ナトリウム血症になります。 頭痛や意識障害、痙攣などの神経学的所見が出やすくなります。 そんな時は最近薬局で販売されている経口補水液が便利です。スポーツ飲料の2倍の食塩が入っています。水1Lに食塩3g、砂糖20gを溶かしたものでも同等の飲み物となります。

でも水分以外に食事を取っていればどんな水分でも大丈夫でしょう。

長時間の運動(4時間以上)ではスポーツ飲料でも危険なようです。

    5/21

週間感染症情報

曜日

月/日

11/17

11/18

11/92

11/13

11/14

11/15

11/16

麻疹

0

0

0

0

0

0

0

0

風疹

0

0

0

0

0

0

0

0

おたふく

0

0

0

0

0

0

0

0

水痘

0

0

0

0

0

0

0

0

伝染性紅斑

0

1

1

1

1

1

1

6

手足口病

1

2

1

0

0

0

1

5

ヘルパンギーナ

0

0

0

1

0

0

0

1

咽頭結膜熱

0

0

0

0

0

0

0

0

流行性角結膜炎

0

0

1

0

1

0

1

3

滲出性扁桃炎

0

0

0

0

0

1

0

1

感染性胃腸炎

5

3

5

3

9

5

5

35

溶連菌感染症

0

4

1

2

1

2

1

11

マイコプラズマ肺炎

1

3

4

4

4

5

1

22

インフルエンザA

2

3

3

4

3

2

2

19

インフルエンザB

0

0

0

0

0

0

0

0

RSウイルス

0

0

1

0

0

0

0

1

ロタウイルス

0

0

0

0

0

0

0

0

メタニュウモ

0

0

0

0

0

0

0

0

COVID-19

2

0

3

0

2

0

0

7

全国の流行状況は、ここからわかります。


OCFCでのユニークな治療法

OCFCでは他のクリニックではあまり採用していませんが、効果があると評価される治療を行っています。ご希望の方はお申し出ください。

  • 伝染性軟属腫(みずいぼ)

    ヨクイニンエキス(はと麦)内服後1-3週で赤くなり1-2ヶ月で消失します。大きくなった水疣やプールなどで急ぐ場合はテープを貼ると1週間で痛みなくとれます。一般的にはピンセットで取る、硝酸銀や液体窒素を使用してとる方法もあります。シメチジンという胃薬で取れることもあります。数が少ない時や大きい時はテープを貼って直す方法が良いでしょう。

  • 包  茎

    ステロイド軟膏塗布

    一般的には放置、重症例は手術することもあります。

  • 溶連菌感染症

    バイシリンまたはビクシリン10日間療法。溶連菌以外には効かないことが多く副作用の出現を軽減できます。最近では珍しい薬となったためOCFCから離れている薬局ではない時があります。

  • 脂漏性湿疹

    2-3ヶ月児の頭部・顔面の重症な脂漏性湿疹。ステロイド・ボチ密閉療法。1-2日でなおります。軽症例ではステロイドは必要ありません。

  • 乳児下痢症

    1週間程度続いている乳児の下痢では自分で乳糖分解酵素を利用できなくなって下痢が更に続く場合があります。この場合ミルクを薄めても効果的ですが、乳糖を含まないミルクに変更しても効果があります。このようなミルクへの変更は必要ないという考え方が主流でしたが、実際に変えてみると効果的です。

  • 繰り返す感染症

    2004年に医学情報誌(N.Engl.J.Med)に発表されたウイルス感染症に効果的なビタミン剤の組み合わせを日本人向けに調合しました。毎月のように発熱を繰り返す方は一度お試し下さい。長期に服用します。

  • 反復性中耳炎、慢性中耳炎、肛門周囲膿瘍

    いずれも抗生剤の使用が難しい疾患です。これらの疾患に漢方の十全大補湯が有効な場合があります。抗生剤よりも副反応が少なく効果的のようです。

  • 繰り返す感冒様症状

    米国の報告では感冒様症状を呈する方に亜鉛を投与すると罹病期間が短縮されることが報告されています。これは亜鉛の抗酸化作用などが影響しているそうです。亜鉛は胃潰瘍の薬であるプロマックの主成分です。風邪をひきやすい。あるいは長引く方にお勧めの治療法です。

  • クループ症候群

    乳幼児の呼吸困難を呈する疾患にクループがあります。ひどい時は窒息することもあります。デキサメサゾンの単回投与で症状は劇的に改善します。きちんと内服していただきたいので看護婦が内服のお世話をします。デキサメサゾンはステロイドですが単回投与であり副作用はほとんどありません。

  • 鼻 閉

    鼻詰まり(鼻閉)には成人ですと血管収縮剤(プリビナ、コールタイジン等)を点鼻しますが、小児では副作用(脳血管障害、頭痛、心悸亢進)があり使用を避けたいものです。小児には(勿論成人でも)炭酸水素ナトリウム・食塩水で点鼻すると鼻水が出てきて、鼻をかむことにより鼻閉を取り除くことができます。この鼻の洗浄はスギ花粉でも有効です。ハナセンとよんでいます。

  • 鼻 水

    乳幼児で鼻水がいつも出ている時に鼻水吸引を行っています。管を鼻の中に入れるのではなくて、オリーブ管(オリーブの形をした管)で鼻孔の外側から吸いますので安全です。ハナスイと呼んでいます。鼻閉の方にはハナセンと併用すると効果的です。


お母さんが決める治療法

病気の治療には病気によって医師の指示どうりに受けた方がいい場合と保護者の方が治療の選択をしてもいい場合とがあります。OCFCではその都度ご説明しますが、ここでは保護者の方に裁量権(選択権)がある疾患と治療について記載します。

  1. 水痘: 自然経過で10日前後で治ります。早く治りたい時には抗ウイルス薬を5日間服用します。この場合は5-7日で治ることが期待できます。ひどくなってから飲んでも治療期間は短縮しません。

    潜伏期間中にワクチン接種を希望する場合、患児に接触後48時間で予防、それ以降で症状の軽減が期待できます。早く接種したほうが効果的ですが、効果がないこともあります。

  2. 乳児湿疹: 乳児湿疹(アトピー性皮膚炎以外)のほとんどは1歳から2歳ぐらいまでに自然に治癒します。OCFCでは原則的に保湿剤のみで対応してステロイド剤を使用しません。早期に直したい、ひどくて楽にしてあげたいと考える場合は弱いステロイドを使用します。短期間の使用にとどめれば副反応はあまり心配しなくても良いでしょう。しかしやめればまた悪化します。悪化・改善の繰り返しとなります。
  3. 汗疹(あせも): 汗疹は涼しくなれば自然になおります。痒いときや気になる時には痒み止めや保湿剤のローションを使います。ワセリン系の保湿剤では汗の出口を塞いでかえって悪化させることがあります。吸湿性のあるローションが無難です。でも決して擦り込んだり、頻繁に使用しないで下さい。ステロイドのローションは使用すると直ぐ直りますが適応は限定した方が無難でしょう。
  4. 発熱: 解熱剤の使用はお母さんの判断です。38.5℃以上のときが使用の目安ですが、必ずしも使う必要はありません。熱がでていても(たとえ40度あったとしても)元気があって、水分をよく飲む、お母さんとアイコンタクトできる。お気に入りのおもちゃと遊べる。動くものに興味をもつ。などいつもと変わりなければ使用しなくてもよいでしょう。そのタイミングはお子さんを一生懸命看ていれば自然にわかるようになります。赤ちゃんがお母さんを育ててくれます。熱が病気を治しているわけではないので、解熱することにより抵抗力が亡くなるわけではありません。子供が楽になるようにしてあげてください。


OCFCでは妊婦さんのへの処方は虎ノ門病院産婦人科の基準に沿って行っています。

薬は症状等によりそれぞれ適応が異なります。また投与量でもその効果や副反応の出現が異なります。疑問が生じたら自分 で判断しないで必ず処方した医師に確認してください。

参照はこちら

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